耕作放棄地とは?
近年の農業環境の著しい変化により、従来は農業の問題点であった課題を新しいビジネスチャンスとして捉える動きが出て来ました。その内の一つが、耕作放棄地の問題です。長年に渡る農業就業者の高齢化問題と後継者不足の問題、政府による生産調整などさまざまな理由から、過去には農作物が育てられていたけれども現在は利用されていない土地のことです。管轄である農林水産省は、過去1年以上作物が栽培されておらず、かつ直近の数年間に再び耕作される予定も意思もない土地と定義しています。もし今後、耕作される予定や意思がある場合は、それは何らかの理由で耕作を放棄しているわけではない休耕地と見なされます。似ている言葉で荒廃農地という用語もありますが、こちらは農家の手入れが全く入っていない、そのままでは農作物を栽培できないと客観的に判断された土地を指します。再び手を入れればまた農耕地として利用できる土地も、二度と利用不可であると判断されている土地も含まれており、耕作放棄地とは意味合いが異なります。
耕作放棄地の現状と対策
2017年に農林水産省が公表した資料では、1975年の13万ヘクタール強から2015年の42万ヘクタール強へと、40年間に約30万ヘクタール増加していることが分かります。再び利用される予定も意思もないわけですから、その間に農地としての土壌の質の管理も行われず、放置期間が長引けば長引くほど、農作物を育てるのに必要な栄養素も失われて、最終的には雑草や害虫だらけになって、農地としての再利用が不可能になります。そうした耕作放棄地が各地で増大して積もり積もった結果、日本の食料自給率は約40%まで低下し、食料を輸入に頼らざるを得ないという問題にもつながっています。
そこで、それまでは農地の売り先は他の農家に限定されていた制度を改め、仲介サービスを利用することで農家ではない人にも農地の貸し出しを行えるようになりました。公的機関によるマッチングや再生作業への補助金などの支援策も受けられますので、耕作放棄地を活用した農業への参入も期待されています。
文書名:「農家になろう」
著者・発行者: 株式会社マイナビ
URL: https://agri.mynavi.jp/2019_08_22_83322/
著者・発行者: 株式会社Life Lab
URL: https://www.sangyo.net/contents/myagri/farmland-problem.html