農業における利益率の向上には、マーケティングの視点が不可欠

農業で利益を大きくするには

一般的な農家は自分で農作物の値段をつけられず、農協に販路を任せ、購入してくれる消費者の顔も知らないイメージがありませんか?もしそうした従来の姿のままであるのなら、自分で利益率をコントロールすることはいつまでたっても不可能でしょう。利益を最大化するには、どこに誰に向けて何を販売すればよいかを把握しなければなりません。その役割はマーケティング活動と呼ばれますが、従来の農業ではその概念がほぼ浸透していなかったと言えます。マーケティングとセールスは混同されることもありますが、それぞれ全く別の役割を担っています。マーケティングとは、時代の流れの中で消費者が今何を欲しており、どこに存在し、どこから商品情報を得て、どこで購買するのかという情報を収集し、分析することです。セールスは、その土台の上で実際に消費者に販売する行為を担当する役割を担っています。スポーツにたとえれば、マーケティングが作戦を立案し、セールスが実際にプレーをすることになり、今後の農業で利益を最大化するためには、この作戦の立案をする部分が重要であるということです。

マーケティングで重要なこと

マーケティングで最も重要なことは、お客さんを知ることです。これまでのように生産した農産物を農協に卸してお役御免では、消費者のニーズや生の声に基づいた改善は行えません。おいしいものさえ作っていれば買ってくれるだろうという漠然とした希望だけでは、いつまでたっても戦略立てて利益の最大化を図ることは不可能です。例えば、出荷時の農作物の単価の安さに悩んでいるのなら、それを農協だけのせいにするのではなく、自分で販路を開拓して直販する道も模索できるはずです。そのためには、消費者が何を望んでいるのかを知る必要があるのです。食の安全が望まれているならオーガニックの野菜をネット経由で直販する開拓もできるでしょうし、付加価値の付いたとびきり高級なブランドとして、富裕層向けにデリバリーする会社と提携することも可能です。しかし、全てはマーケティングを徹底的に行い、消費者ニーズにマッチした仕組みをつくることが変革の第一歩です。

文書名:「農家になろう」
著者・発行者: 株式会社マイナビ
URL: https://agri.mynavi.jp/2017_08_01_1018/