日本の農業人口は本当に減っているのか?

農業は衰退産業?

新聞やニュースでも取り上げられる、農業人口の減少や後継者不足などの日本の農業従事者についての問題ですが、大まかな数字だけを見れば、このまま日本の農業が衰退していくのではないかという懸念は妥当なものに思えるでしょう。実際に農業人口は大きく減少しており、高齢化は年々深刻さを増しています。しかし、依然として年間農業生産額は8兆円規模の大きな産業であることは変わりません。

日本の農業人口の推移

農業就業人口は、2000年の389万人と比べて、2017年では181万人と大きく減少しています。農業就業者の平均年齢は、2000年の61.1歳から2017年では66.7歳と、5歳以上も高齢化していることが分かります。この数字だけを見れば、確実に就業人口は減り、高齢化は進んでおり、日本の農業の将来は悲観的に思われます。しかし、見落としてはならない点は、49歳以下の若者の農業就業数は近年増加しているということです。2014年以降は毎年2万人以上で推移しています。さらに、独自に農業を始める新規参入者数も2008年と2017年では約3倍も増加しています。

農業への参入障壁

若者の農業への就労者数が増えている理由の一つに、国の法制度が変更されたことによって農業への参入障壁が下がったことが考えられます。従来の農家が家族で作業する形態ではなく、法人化した組織が経営を行うことで、若者を雇用することが可能になります。実際に、農産物を生産する法人組織の数は2000年の5千社強から2017年には2万2千社に及ぶほど増加しています。さらに、地方自治体も農地を遊ばせておかずに有効に活用するために、農業に就労したい人材とそうした法人をマッチングさせる制度を整えたり、中小企業や個人でも参入できるように借地や農業機械を貸し出したり、安価で取得できるサポート体制を用意していることなども、就労数の増加に寄与していると言えるでしょう。このように考えると、確かに高齢化は進み、農業就業人口も減少していますが、その分企業の新規参入や個人の独立により、若い労働力が増加し、1人当たりの生産額を高めているとも言えるでしょう。

文書名:「 農家になろう」
著者・発行者: 株式会社ケイエスケイシステム
URL: http://nou-ledge.com/2019/02/05/190205_agricultural_-population/
著者・発行者: 株式会社Life Lab
URL: https://www.sangyo.net/contents/myagri/agriculture-population.html